私とあなたのMemory
でも、次の言葉は意外だった。


「ごめんな。」


ションボリとした声が聞こえる。


「何も言わずに、北海道言っちゃって。」

真剣に謝られたら、怒る気なんてしない。


「うん。大丈夫。そっちも、いろいろ忙しかったんでしょ?」



「まぁ。」


受話器の向こうだけど、悲しそうな表情をしているだろう。


リョウも、ちゃんと伝えるつもりでいたんだ。

でも、そんな暇がないくらい急だったんだきっと。



急に、事情も知らずに怒っていた
自分が


恥ずかしく思えた。



「オレ、もっとののかと話したかった。」


素直なリョウに、心が痛む。


でも、そんなものみじんもあらわさず、
明るく答える私。


「大丈夫、私が、必ず会いにいくよ。」


「マジで?」


「うん。約束する。」





寂しくなんかない。


そう自分に言った。


体も心も素直になった。


リョウと口約束をしただけで、不安はなくなった。


やっぱ、
リョウってすごいな。
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