私とあなたのMemory
って、コイツまだ家の中にいたのかよ・・・。


「おぉ~、さすが新!!」


輝かしい目を俺にむけている。


と言っても、仁は本当はケンカがめちゃくちゃ強い!

そのクセに弱いフリしてるんだ。

で、オレがいつも標的になんの。


あまりに、理不尽だから


「一緒にいるコイツには手ださねぇのかよ!」


って、前言ったんだけど

「そんな雑魚、相手にしても意味ねぇし。」


だとよ。


で、結局仁は端っこでおびえてるフリして心の中で笑ってる。


それが、ムカつくから俺はその分相手をボコボコにする。



中学に入学したばっかの時、
いきなり俺は、仁にケンカを売った。


小学校の頃から強いと言われていた俺は、
年上でも誰でもケンカして、倒していた。



俺は、当時、地味で暗い仁が気に食わなかった。


みんなで話していても、入ってこないし

そのクセに授業サボると、いっちょまえに俺に説教してきた。



だから、俺は放課後に仁を呼び出した。


クラスの奴らは、ざわつき、痛々しい目で仁を見送った。



仁を可哀想だと思ったのか、わからないが
誰ひとり、見に来る奴はいなかった。









が、







それは俺にとっての幸運だった。



ケンカを初めて約5分。


地面に倒れこんだのは、






俺だ。





仁に一発も当てられず、ただパンチをくらうだけだった。



ボロ負けだ。



俺の人生最大の屈辱だった。



実を言うと、俺の決めゼリフもアイツのをパクったもの。


あの時の仁は、普段では想像もできないような
悪魔と化していた。


俺の口から出た血を見て興奮し、
更に鋭いパンチを出していた。


並の中1ではない。


というか、人としてその時はどうだったか。





そして、目を最大に見開いて


「ここで寝るな。邪魔だ。」

と、低く言った。

まるで唸るように。






< 75 / 94 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop