私とあなたのMemory
「リョウ・・・・。」




「もう・・・いいよ。」



リョウの心は優しかった。


記憶をなくして、
取り戻して、
犯人も見つかった。


それでも、責めることなんてひとつもしない。




優しい微笑みで、1人の少年のあやまちを許した。



これほどこ心の広い少年が、
今この時代にいるだろうか・・・。




「顔・・・あげて・」



リョウの声は暖かく、黒木の肩の力を抜いた。



フっと崩れ落ちる黒木に、

「じゃあね。」

と、余計なことは言わず
去っていった。



その後姿を追いかける。




「これで、よかったの?」


念のため、聞いてみた。





リョウは、小さく笑って言った。









「オレはね。」









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