君が必要とする限り
Ⅰ
待ち合い室は、今日もたくさんの人で溢れている。
その前を通り過ぎるとき、
「こんにちは」と声をかけてくれたり、会釈をされるとやはり嬉しい。
それはまだ俺が新米だからだろうか。
うん。そんな気もする。
だが、人に感謝されるのは嬉しいことだ。
「川崎先生〜っ!」
そう元気よく声を出し、
一生懸命走りよってくる少年。
そして俺の足に腕を絡めるように抱きついた。