君が必要とする限り
「…あ、そうだ。」
俺は親父から受け取った診断書をファイルから取り出した。
「大野…亜矢子…。」
―オオノ アヤコ。
それが彼女の名前だった。
年齢は、20歳。
俺と…5歳差か。
職業は、大学生。
ざっと目を通しても、不審な点は見つからない。
一体どこから精神的な不安が生まれたのだろう。
そう思った瞬間、
ある記述を見て心が揺らいだ。
「母親が…5歳の時に死亡。父親も…5年前に死亡してる…」
彼女には兄弟もいない。
今…1人なのだろうか。