君が必要とする限り
「それでは、少し簡単な質問をしますね。
リラックスして受けてください。」
私は1つ1つ、馬鹿丁寧に質問をされた。
年齢、職業、または全く関係の無さそうな趣味や好きな音楽。
これもカウンセリングの1つなのかな。
面倒くさいから、適当に答えた。なのに先生は、それを真剣に書き写す。
なんだかその姿が妙に可愛くて、久しぶりに温かい気持ちになった。
だから、好きな音楽だけは、本当に答えた。
「あ!僕も、この曲好きなんです。」
川崎先生は思い出したように
発すると、
「あのサビに行く前のメロディーが好きなんですよね。
あとやっぱりボーカルの声質が…」
と熱心に語りだす。
「あ、すみません。語りすぎましたね。」
照れくさそうに目を伏せて笑う姿に、若さを感じた。
「いえ、私も同じですから。」
そう言うと、
「ありがとうございます。」
また優しく笑った。