君が必要とする限り


…危ない。


この人は危ないと、思った。


この人の笑顔に、心が揺らぎそう。


でも絶対にダメ。
これも患者の心を引き出す作戦なのかもしれないから。


…『患者』か。
ふと可笑しくなって目を伏せた。


大きな窓から差し込む光。


私と、目の前にいる先生にも降り注ぐ、光。


(眩しい…)


顔を上げると、先生も同じように窓のほうを見て目を細めていた。


「今日は、快晴ですね。」


すると、窓の外から子どもたちの元気な笑い声が聞こえてきた。


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