君が必要とする限り


確かあの日も、晴れてた。


空は、快晴だった。


いつものようにお父さんは笑顔で、
出かけ際は、いつものようにお母さんの写真に「行って来ます。」と言って……


「亜矢子、今日はお父さん、ちょっと帰りが遅くなるかもしれないんだ。
でも心配しなくて大丈夫だからね。」


―ねぇ、お父さん。
一体何が大丈夫だったの?



そんな問いかけ、今はどこにも届かない。
届くはずもない。


そして、この思いはどこにも消えてくれない。


恨んでも恨みきれない。
この沸々と煮えたぎる恨みは、
決して忘れちゃいけない。


一度は許してやろうかとも、思った。


なのに…
なのにアイツは、何も覚えていない。


平気で笑ってるなんて…


「許せないっ…!」


私は思いきり拳を壁に打ち付けた。

やがて力が抜けて
すーっと腕が下がる。



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