君が必要とする限り
Ⅲ
確かあの日も、晴れてた。
空は、快晴だった。
いつものようにお父さんは笑顔で、
出かけ際は、いつものようにお母さんの写真に「行って来ます。」と言って……
「亜矢子、今日はお父さん、ちょっと帰りが遅くなるかもしれないんだ。
でも心配しなくて大丈夫だからね。」
―ねぇ、お父さん。
一体何が大丈夫だったの?
そんな問いかけ、今はどこにも届かない。
届くはずもない。
そして、この思いはどこにも消えてくれない。
恨んでも恨みきれない。
この沸々と煮えたぎる恨みは、
決して忘れちゃいけない。
一度は許してやろうかとも、思った。
なのに…
なのにアイツは、何も覚えていない。
平気で笑ってるなんて…
「許せないっ…!」
私は思いきり拳を壁に打ち付けた。
やがて力が抜けて
すーっと腕が下がる。