君が必要とする限り


「そうだね…じゃあ考えとく。」

「まじ?!やった!」


ニカッと笑って、
愛しそうに見つめながら私の髪を撫でた。



その笑顔を見て、ふと私はある人を思い出した。


(川崎…隆太…)


そう。
川崎先生を思い出した。


あの、柔らかくて心に染み込むような、笑顔。


笑える。
なんでこの前会ったばっかの
あの人を思い出すんだろう。


「亜矢子、何で笑ってんの?」


「…え、笑ってた?」


自然に笑ってて、しかも気付かないなんて…末期だな、私。


「浩樹の傍にいられて、嬉しいから…かな。」


「亜矢子がそんなこと言うの、珍しいな。
そろそろ本気になってくれた?俺に。」



『そんなに顔を近付けないで』
『触らないで』


そんなこと、言えるはずはない。

だって……



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