君が必要とする限り
浩樹。
あなたはいつからか私を純粋に好きでいてくれてるね。
本当に、心から。
でもね、
あなたは本当の私を知らないでしょう?
だからね、
あなたは絶対に私を好きでいちゃいけないの。
人なんてね、簡単に信じちゃいけないんだよ?
そう心に呟いて、
私は浩樹と一緒に朝を迎えた。
「…亜矢子、今日も出かけるの?」
「うん。行って来る。」
「今度、いつ来れる…?」
「…わかんない。でも、必ずまた来るから。」
そう言って微笑み、
着てきたカットソーに袖を通した。
浩樹は心配そうに私を見つめる。
背中越しに感じる、視線。
私はその視線を絡め
浩樹に近づく。
そして頬に触れて
軽くキスをした。
「…ごめんね、浩樹。」
そんな願いを、
声に出せない願いを込めながら。