君が必要とする限り
白髪混じりの髪が、
夕陽を浴びてオレンジ色に染まっていた。
その姿は、セピア写真のように
なぜが鮮明に脳裏に焼き付いた。
「親父は…なんでそんなに彼女のことを気にするの?」
何も、答えない。
その代わりに、ピクリと
肩が揺れた。
「彼女……本当は何か悪い病気なのか?」
ゆっくりと、首を横に振る。
「じゃあ、一体……
「大野亜矢子は、もしかしたら大変な…大変な爆弾を抱えた人かもしれん。」
「爆弾…?何の話だよ、それ。
やっぱり、病気……
「違う!…違うんだ…」
いきなりの怒鳴り声に、
目を見張った。
親父は、明らかに態度がおかしい。
普通じゃない。
一体何を、何を抱えてる?