君が必要とする限り
「でも、気になるよな。
事件て…しかもその美人患者が関わってるっていうのがな。
まさか…彼女が昔事件を犯したとか?」
「そんなわけない!彼女は…そんなことしないよ、きっと…」
「仮にだよ、仮に。そんな真剣になるなんて、お前……」
孝司は、ズイッと俺に近寄ると
ぼそりと言った。
「その美人患者に、惚れてんだろ。」
惚れてる…惚れてる?!
「なに言ってんだよ!違うよ、俺は…なんとなく…わかるって言うか…」
「あはははは。お前ほんと解りやすい奴だな。」
「だから違うって言ってるだろ!」
「はいはい。」と言わんばかりに俺の背中をポンポンと叩いた。
「なんか俺も気になるからさ、事務所戻って資料調べてみるわ。」
「ああ。ありがとう。」
そのあとは他愛ない昔話、
今の仕事の様子などを話した。
久しぶりの会話に、お互い内容が濃い。
馬鹿みたいに笑った。
まるで昔に戻ったようで、
胸が温かくなった。