君が必要とする限り
「なぁ〜、もう一軒だけ〜!」
「ダーメーだって言ってるだろ!俺は明日も早いんだから、な?」
案の定、酒豪の孝司は飲んでも飲んでも足りないらしい。
俺はもう御免だ。
こいつの飲みっぷりは
痛いくらいに知っている。
「久しぶりなんだしさぁ〜、いいじゃんか〜。
隆太も、もっと頭柔らかくしないと、イケメンなのにモテねーぞぉ?」
「モテなくて結構。ほらっ、行くぞ!」
酔っぱらった孝司の肩を担いだその時、
俺たちの近くを若い男女が通り過ぎた。
女の方は髪を巻いていて、
かなりの露出をしている。
スタイルは、素晴らしく良い。
男は女の腰に腕を回し、
厭らしく顔を近づけていた。
夜中になると、こういう人たちが増えるから、どうも好きになれない。
「なぁ、次どうする?アヤコ…」
…アヤコ…亜矢子?
すれ違い様に発した男の言葉に思わず顔を上げた。