君が必要とする限り
「はい。何でしょう?」
「院長がお呼びです。」
「院長が?」
「はい。院長室まで来てくれと。」
「…わかりました。ありがとう。」
突然の呼び出しに不思議に思いながらも、俺は院長室へと向かった。
…と、そこへ。
―またあの子だ。
胸下まであるストレートの長い髪。
少し明るめに染めた髪が、彼女の白い肌でさらに明るく見える。
そして、バランスの良い涼しげな顔。
(今、何時だ?)
待ち合い室にある時計は、
午後3時を指している。
彼女は俺の横を通り過ぎる瞬間、微かに目が合い軽く会釈をした。
俺も慌てて会釈を返した。
ここのところ、毎日顔を見る。
どこか悪いんだろうか…
彼女が病院を後にするまで見ていた俺は、院長室へと体を向けた。