君が必要とする限り
院長は向かいにあるソファーへと腰を下ろす。
同じギシッと言う音と共に、
「よいしょ。」と漏らした声に
年齢を感じた。
「私の患者なんだがね、お前となら年齢も近いし、そのほうが良いかなと。」
院長が『お前』と俺を呼ぶ理由。
それはー…
「息子にこんなことを頼むのもあまり気が進まないんだがな。」
俺が院長の実の息子だから。
「でも、俺は小児科担当だし、まだ見習いに近い身だし…」
「大丈夫。診てもらいたいのは、外部ではなくて…」
院長は胸に手を当てた。
「“心の病”のほうなんだ。」