君が必要とする限り
ベットの中で、
色んな話をした。
好きな食べ物、嫌いな食べ物。
好きなテレビ番組、
好きなアーティスト。
こんな、こんなありきたりな会話がすごく楽しくて、嬉しくて
夢中で話して、笑って、
先生が楽しそうに話す横顔を、
時々こっちを見ながら笑う顔を、
しっかりと胸に焼き付けた。
「私ね、川崎先生に言ってなかったんだけどね?」
「うん。なぁに?」
「実はね…私のお父さん、川崎先生と同じように、お医者さんだったの。」
「そうなの?!」
「うん。意外?」
「全然想像つかなかった。お父さん専門は?」
「実はね、小児科の先生。」
「え!そしたら俺と同じだ。」
「そうなの。すごい偶然でしょ?」
「うん。なんか、すごいや。」
そう言って、無邪気に笑う先生。自分のことを「俺」と呼ぶ姿に
親しみを感じて嬉しい。