君が必要とする限り


「…それでね、お父さんも、先生と同じこと言ってたの。」


「同じ…こと?」


「うん。…手助けしたいって。患者さんの手助けを、したいって、そう言ってたの。」


彼女は静かに目を閉じる。


そして思い出したように、
天井に手を伸ばす。


ゆっくりと、目を開き


「…後悔は…したくない。」


そう言った。


「後悔は、したくない。
だから……」


揺れる瞳が、俺を見る。


「だからね、先生。
この先何があっても…私を…」


息が詰まりそうだった。



「私を……」





――許さないで。



そう小さく、小さく囁いた。



『許さないで』
何度も何度もリピートする。


伸ばす手に手を絡め、



無理やりに唇を塞ぐ。
何も考えられないほどに、
めちゃくちゃにしたい。



それが……
今は何よりも必要な気がしたから。




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