君が必要とする限り
少しの沈黙のあと、
孝司は続けた。
『記事を調べてたらな、見つかったんだ。
彼女…大野亜矢子に関連する記事を。』
孝司はゆっくり、一言一言噛み締めるように、言った。
『5年前、ある病院で、当時小学二年生だった少年が、死んだんだ。
その原因が、薬にあったらしい。しかし、詳しいことは隠され、
わからなかった。
家族側が病院に裁判を起こしたが、病院側の謝罪で、終了。』
なんて、酷い話なんだ。
聞いていて、怒りが沸々と沸き上がる。
『それで、そのときの小児科の医師が………
大野 学。
大野亜矢子の、父親だ。』
「…嘘…だろ?」
『しかもな、隆太。…その病院て……
隆太の親父さんの、病院なんだよ。』