君が必要とする限り


頭が、真っ白になる。
何も、考えられない。


5年前、俺は二十歳。


なんで、
なんで何も知らなかったんだ?


大野亜矢子の父親が、
うちの病院にいた?


どういうことなんだ……



『実はな、隆太。それが原因で、大野学は……』


「…大野、学は?」


まさか、まさかな


『…自殺…したんだよ。』


その、まさかだった。


『俺が推測するにな、彼女は、たぶんお前の親父を憎んでる。
だから、病院に通いつめて、何かを探ろうとしてるんだ。


それにもしかしたら……


彼女は殺害を計画してるかもしれない――。』




そのあとの会話は、
頭に入らなかった。


大野亜矢子が、親父を…?
病院に来ているのは、
そのため?





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