君が必要とする限り


病院に、着く。


すると、
「お姉ちゃ〜ん!」


達也くんに出会った。


「達也くん、こんにちは。」


「こんにちは。今日ね、川崎先生いないの。」


困ったように、眉を下げる。


今日は、私も院長の診察を受ける日だから、どちらにしても会えなかったけれど


やっぱり寂しい。


「そうなんだ。お姉ちゃんもね、今日は先生に会えないんだ。」


「そっかぁ…寂しいね。」


私の気持ちを代弁したようなその表情に、胸が痛い。


「でも、明日は会えるでしょ?」

「そうだよね。明日会えるからいっか!」


にっこりと笑った。
可愛い子ね。この子は本当に。



少し私の中にある疑問をぶつけてみた。
この子なら、知っているかもしれない。


…いや、知っていないほうが、
良かった。




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