君が必要とする限り
院長室とはいえ、名前で呼ばれるのは珍しい。
「はい。」
「…あ、いや。あまり無理するな。
最近徹夜が多いと看護師から聞いた。
医師は患者を救うのが仕事だ。
自分の健康を損なうことは一番良くない。
健康でなければ、命は救えないからな。」
「わかりました。気をつけます。」
一度会釈をすると、ドアのぶに手をかけた。
部屋を出る瞬間に見た親父の顔はどことなく暗く、顔色が良くなかった。
思い過ごしだろうか。
ああ、そうか。
寝不足のせいかもしれない。