君が必要とする限り


記事によれば、
大野亜矢子の父親である
大野学の死因は謎に包まれていた。


しかし、当時病院に務めていた事務員の男性が、


院長と、大野学のやり取りをたまたま聞いてしまったらしい。


小学生の男児が亡くなった真実を世間に、遺族に伝えるべきだという大野と、それを隠し通せと言う院長の川崎和敏。


その数日後に、大野学は死んでいる。


結局、亡くなった小学生と、
大野学の死因がわからないまま
時は過ぎた。


病院側が、マスコミに口封じをしたという噂も流れている。


「この記事はな、書き上げてあったが、世間に出回ることがなかった。それは…


「親父が、そうしたのか?」


「………。」


「そうなんだろ?」


「…ああ。どうやら、そうらしい。」


なんてことだ。
俺は今まで何も知らずに生きてきた。


親父を、
親父を尊敬して、生きてきた。


それなのに…………





< 95 / 123 >

この作品をシェア

pagetop