君が必要とする限り


「知らなかったのも無理ない。
親父さん…病院側は、隠し通してたんだよ。
ごめんな、突然こんなことがわかるなんて…」


「いや、いいんだ。いいんだよ。わかって…良かったんだ。」


そう、わかって、良かったんだ。


親父がしてきたことは、
きっと逮捕される内容に違いない。


そうすれば病院は消え、
俺たち家族も………


考えて、目の前がグラリと揺らいだ気がした。



それと同時に、込み上げる怒りを感じた。


親父を初めて、憎いと思った。



「親父と…話してみる。」


「…大丈夫か?」


「わからない。けど……彼女を、犯罪者にはしたくないんだ。絶対に。」


「…うん。」


「彼女は……幸せになるべきだ。」


そう。
幸せにならなきゃいけない。


彼女も。
そして、病院を頼りに生きる人々も。


病院という場所に、残された命を預ける人々も。



一筋の輝きを、見いだす人々も…


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