君が必要とする限り


「…ありがとう。」


床に落ちた服たちに手を伸ばすと

「まだ、帰らないでよ……」


浩樹が私の腕を引っ張った。


そして耳元で言う。


「…亜矢子、俺はお前の味方だよ?」


――味方……


「だからさ、もう…


「味方なんていらない。」


腕を振り払う。


「味方なんて、いらない。
同情も、哀れみもいらない。


浩樹には感謝してる。
だけど…」


「だけど…?」


「私は、あなたを好きにはなれない。
一緒には、いられない。
忘れないで、浩樹。
私は優しさの欠片も無い人間だよ?」


浩樹は眉を寄せ、
私を見つめる。


「最低だよ…?私は……」


「亜矢子……」


「じゃあ、行くね。」


乱れた髪を直し、
服を整える。


ドアに手をかけるとき、
後ろから声がした。




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