君が必要とする限り
「亜矢子…俺は同情なんてしてなかった。
本当に、好きだったよ。」
胸がギュッと掴まれる。
ダメ。振り返ったら、ダメ。
「…ばいばい。」
やっとの思いで言い放ち、
部屋を出た。
ぼやけた視界の中に、
もしかしたら私も彼に惹かれていたかもしれないと気づかされた。
でもそれはきっと、
優しさに甘えてただけだったんだ。
“恋”ではなく、
“安らぎ”でもなく、
“利用”だった。
これからは、
1人でやり遂げよう。
そう、
私は最初から
たった1人なのだ。