ポチ。


一夜明けて、わたしはイメージする。


ポチはその日、お出かけに喜んだのだろう。

そして、保健所につれてこられて、なんで自分がそこにつれてこられたかも知らないまま。
(わたしも、友人でさえ知らない。ポチは人を噛むこともしなかったし、夜の無駄吠えもなかった)
檻の中に入れられて。


迎えに来てくれるのを、待っていたに違いないのだ。

何日も何日も。


友人を。
友人の家族を。



何日も何日も。



きっと、違う保健所に移動させられて、ガス室に入った、そのときでさえも。

意識を失う、最後の最後まで、待っていた。

きっと、帰りたかった。


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