ポチ。
友人の家に遊びに行くことが多くなった。
たぶん、中学に入ってからのことだったと思う。
彼女の部屋は2階で、わたしが1階の部屋に入ることは、そう多くなかった。
そして、その数少ない体験の、どこをどう切り取っても。
裏庭に面した窓辺に立つと、いつでも外にはポチがいた。
ポチは、たぶん雑種の、中型犬だ。
とびっきり可愛い顔をしていたわけでもないけど、瞳はくりくりと黒く、耳は垂れていて、とても愛嬌のある犬だったと記憶している。