いちごキャラメル





「ゆーうきくんっっ」






じゃーんと

効果音が鳴るような

声の調子で

病室に入る







「どうした?ずいぶんとご機嫌で」






侑貴くんは

本から視線をぁたしに移し

笑顔で答えた








侑貴くんは

1ヶ月ずっとここにいる







もちろん貧血なわけがなくて

だけど、聞いてみても

返事はいつも同じ






さあ、なんでしょう







そう言われたら

なんて言っていいか分からない






少しだけ

少しだけね?






侑貴くんの瞳の奥に

影が見えたあの日から

何も聞けなくなったんだ






なにか侑貴くんが

隠してるってことぐらい

自分でも分かってるのに






「燐?りーん!」






自分でも分かってるはずなのに








「燐ってば!」






「わぁー!!ご、ごめん」






侑貴くんが

ぁたしの目の前で

手をかざす






「テンション高いのか低いのか

 燐は本当分からないな」






少し笑いながら

侑貴くんはぁたしの頭をなでた






「ご、ごめん」









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