天使が舞い降りた。
頭を金づちで打たれたような衝撃を受けてしまった俺。
俊介への苛立ち、これからのバンドのこと、そして何よりも凛のこと。
色んな思いが頭を回ったまま、俺は1人事務所の玄関へ向かう。
玄関前には既にマスコミが数人集まり始めていた。
それを見て俺は裏玄関へと回った。
そして裏玄関の前に立っている美紀に気づく。
「美紀? どうした?」
「山村さんから電話もらって。心配になって来ちゃった」
「そう」
俺たちはほとんど言葉を交わさないまま、車内を過ごした。
しばらく走ってマンションの近くの河川敷の前で車を止める。
「少し休んでこ?」