天使が舞い降りた。
「…ん」
野球をする少年達を横目に、美紀が土手に腰を下ろす。
俺も美紀の隣に座って少年達に目をやった。
「電話で聞いた。凛ちゃんのこと」
「そうか」
「潤くんが人を殴るなんてこと、あるんだね」
「…」
「気持ちは分かるよ。私だって俊くんを殴ってやりたい。あんな良い奥さんと可愛い子どもがいるのに、自分より10歳も年下の子と付き合って妊娠させるなんて…」
俺は黙ったまま美紀の言葉を聞いていた。
「誰1人幸せにならない。皆を傷つけてるだけじゃない」
「それで何より俊が苦しんでるのかもしれないな」
「え?」