天使が舞い降りた。

ゆっくりと歌い始めた俊介。

だけど歌の途中で声が途切れてしまう。


「…?」

 
その異変に気づいた俺は、ギターをもったまま俊介に近付く。

「おい、俊!」
 
俺は俊介の目から一筋の涙が零れ落ちていることに気づいた。

10年以上付き合ってきて、初めて見る俊介の涙ー。
 
賢治や他の関係者、ファンもその異変に気づいて会場がザワザワとし始める。

賢治が『何やってんだよ』と口をパクパクしている。
 
正気に戻った俺はとっさに俊介からマイクを奪った。


「ごめんねー! ストップ。俊介、目にゴミでも入った?」


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