天使が舞い降りた。
「座ってて」
俺はコーヒーを入れて凛の手元へ差し出す。
「ありがとうございます」
凛はそう微笑んで、部屋の床に散乱しているギターや曲作りのノートに視線を移した。
「曲作りですか?」
「あ、まあ」
俺はとっさにそんな嘘をついた。
「…潤一さんの作る曲は優しくて好きです」
「え?」
「優しい曲なのに強くて。逆に激しい曲でも優しくて。…あれ、どっちがどっちだろ? 何て言えば良いのかよく分かんないけど」
困ったように笑う凛を見て俺も微笑む。
「美紀ちゃんはホント幸せ者! 私も潤一さんが書く詞の【あなた】になりたーい、って何回も思いました」