天使が舞い降りた。
「今日は夜からなんで。少し美紀と話してから…」
「そう。じゃあ私はお邪魔ね? どうぞ」
美紀の母親はニコニコしながら、俺を病室の方へと押した。
「美紀、どう?」
「もう平気。ごめんね、驚いたでしょ?」
「ん…」
「大げさだなぁ、救急車なんて! そんな大したことじゃ…」
「無理すんなよ」
起き上がろうとする美紀の肩に触れる。
「ごめんな」
「え?」
「俺のせいで…」
「やだ。潤くんのせいじゃないってば!」
美紀は強がったような笑顔を見せる。
その笑顔を見るのが辛くて俺は思わず俯く。