天使が舞い降りた。




「お邪魔しました」

「じゃ、気をつけて」
 
どこにいるか分からないマスコミ対策として、帽子を深くかぶった凛。

「ライブまた見に行きます!」

「ん。待ってる」



 
笑顔で手を振る彼女を俺は見送る。
 
だんだんと小さくなっていく凛の姿。

次の約束も、会える保障もないまま…。

だけど今の俺には彼女を引き寄せる権利も、勇気もなくて。


俺はグッと拳を握り締めて、彼女から背を向けたー。











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