天使が舞い降りた。
…気のせいだって必死で自分に言い聞かしてきた。
いや、今だって気のせいだって思う。
思いたい。
俺はベッドに横になって毛布を被る。
「ごめん、美紀。先休むわ」
キッチンにいる美紀に聞こえるように、大きめの声でそう言う。
「もう寝るの? 賢治と山村さん、どうしよう。起きないんだけど…」
キッチンから美紀の声が聞こえてきた。
「悪い。そこでいいから毛布でも被せといて。あと片付け、明日でいいから」
丁度その時、俊介の車が発車する音が聞こえた。
俺はその音を不安な気持ちで見送る。