天使が舞い降りた。
「…最近どうよ? 裕子とは」
楽屋で俺はさりげなく話を切り出した。
裕子とは俊介の1歳年下の奥さんの名前。
4年前に結婚して、同じ年にはタクヤという男の子も生まれている。
裕子と俺たちは古くからの仲間だったけど、最近は全く顔を合わせていなかった。
「何? 急に」
不思議そうに俺を見る俊介。
「あ。い、いや! 最近会ってないから。タクヤも元気?」
いきなり凛の話を切り出すわけにもいかず、何だか不自然な会話になってしまう。
「どっちも元気元気。あ、今ちょっと別々に暮らしてんだけどね」
「えっ?」
「タクヤ連れて実家帰ってるから」