天使が舞い降りた。
「あ、そーいえば」
「昔よく行ったなー」
数年前まで仲間達と必ず出かけていた近所の花火大会。
美紀と付き合うことになったのも、その夜だった。
思えばあれ以来、忙しくて1度も行けていない。
「よっし。行くか?」
「ホント?」
「ああ、行ってみようぜ」
気づけば夏も終わりに差し掛かっていた。
普通の恋人同士がする「夏らしいこと」、美紀には何1つさせてあげられてない。
毎日がハードだし、世間に顔を知られている俺は美紀を連れて人込みに行くことを控えていたから。
美紀は平気だといつも言うけど、きっと寂しい思いをしているはず。