天使が舞い降りた。

俺の心臓は花火の音と同時にドクドクいってたっけ。

そして花火なんてロクに見ずに、ずっと美紀のことを見ていた気がする。


『ドラマか何かで見た。花火の夜は恋が叶うんだって』

そう言って笑った美紀を今もハッキリと覚えてるー。




だけど今の俺は、花火にも美紀にも集中できずにいた。

少しだけ前にいる3人の方にばかり視線が行ってしまう。
 
眠そうに目を擦るタクヤに声を掛ける俊介。

それを見て微笑む凛。

そんな3人の姿を見ていたら、居た堪れない気持ちになってしまった俺がいて。



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