天使が舞い降りた。
③ その恋の目撃者
花火大会の帰り道。
何も気づいていない美紀は上機嫌に俺の前を歩く。
「楽しかったね!」
「だな。たまにはいいな、こういうのも」
「ちょっとだけドキドキしたけどね。バレるんじゃないかって」
「大丈夫だよ、俺は存在感ないから。俊とは違って」
「まあ 俊介くんは目立つもんね? とはいえ、日本を代表するバンドのギタリストなんだから気をつけなきゃね!」
無邪気に笑う美紀。
さっきの俺の心の内なんて何も知らないままー。
「…美紀のおかげだな」