不器用な彼と素直じゃない彼女
「それがさー
同じ学祭委員の人で!
しかも同じ班で!
もー気まずい気まずい!
だからあたしずっと
走り回るような仕事してるの」

俺はボー然となっている。
彼女はマシンガンのように
べらべら話し出す。

「昨日急にだよ?
なんか理由が
納得できないっていうか
はっきり言わないんだよね。
で、あたし段々
イライラしてきちゃって
言い方きつくなっちゃって
そしたら向こう泣いちゃって!
いやいやいや
泣きたいのあたしだしねー!
って感じ。

しかももういいやってなって
別れることになってさ
帰ってからメールきてて
ごめん、
とでも言うのかと思ったら
あたしの文句書いてあんの!
言いたいことあんなら
直接言えって話じゃん!
最強にヘタレだった。
あーもー私のときめき返せ!
あれでも好きだったのにさ。

…あ、ごめん、一人で
しゃべりまくって…」

酒井さんのマシンガントークが
やっと一段落ついた。
なんか失礼かもしれないけど
朝泣いてたのが嘘みたいに
自虐ネタのように話す彼女に
ちょっと笑えてしまった。

「いや、俺は大丈夫だけど…」
思わず笑ってしまった。

「ちょ、笑わないでよ人の失恋話!
あーでもなんか人に話したら
ちょっとすっきりした。
ありがとね、松下くん。」
ほんとにすっきりした様子の酒井さん。
女子ってこうやって友達に話して
色々発散してくんかな。

「どういたしまして」
酒井さんの役に立てたのかな。
ちょっと嬉しかった。
こういう恋愛絡みの話するのも
初めてだったし。

初めての恋愛話が
失恋話ってのは残念だけど。笑
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