不器用な彼と素直じゃない彼女
「ねえ松下くんは
好きな子とかいないの?」
学祭も終わって
ごくごく普通の日常の1コマ
酒井さんは突拍子もないことを
聞いてきた。

「どしたの急に…」
「いや、私の失恋話はしたけど
松下くんのことは知らんなぁ
って思って。
そもそも彼女いるの?」
ほんとに何も知らんね…。

「彼女はいないよ。
好きな子は…微妙かな。」
「は?何微妙って」

納得のいかない様子の酒井さん。
ごめん、でも本心なんだ。

「俺お前みたいに単純に
出来てないんだよ、悪いな」

「人を単細胞みたいに言うなよ」
つっこみと共に殴られた。

「悪い悪い。
ま、自分の中ではっきりしたら
ちゃんと教えるよ。」


それじゃ遅いことを
このときの俺はまだ
知らなかった。
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