不器用な彼と素直じゃない彼女
2年生も終盤に差し掛かり
大学というものを
意識せざるを得なくなってきた。

俺はというと
理系きたくせに法学部志望。
明確な目標はない。
ただなんとなく。
弁護士とかなれれば
かっこいいよな程度。

そういや酒井さんは
どんなとこ目指してんだろ。


「酒井はねー、
教育学部目指してます」
自分のこと酒井って言う
変な女です。笑

「へぇ先生になりたいの?」
「うん、数学の先生!
絶対なる!!」

「松下くんは?」
「俺は…法学部」

「え、文系なんだ?」
「数学は好きだから理系きたけど
大学はそっちの方面が
いいなって」
「ふーん…そうなんだ。
すごいな、私数学しか無理だ!」

すごい?
なにが?
しっかりした目標がある
酒井さんのが
よっぽどすごいじゃないか。
俺のことバカにしてるの?
いいよな迷いのない奴は。

俺の思考回路は
妬みと自己嫌悪の
悪循環になっていた。



「弁護士は法律使って
人を救えるけど
教師は数学教えて
誰救えるの?」

気がついたときには
こんなことを言っていた。
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