不器用な彼と素直じゃない彼女

放課後
今日は雨ということで
部活は校舎内で
自主筋トレとなっていた。
廊下を走っていると
酒井さんがいた。

｢あ…｣
｢あ、松下くん
雨の日まで偉いね
お疲れさん｣

元気よく声かけてくれる
酒井さんに違和感を感じた。
だって午前中
あんなに泣いてたじゃないか。

｢あ、うん…酒井さんはどうしたの？
こんな時間まで…｣
｢あたし学祭委員でさ、
今ほんと追い込み！
今日も走りまわってばっか｣
笑いながら言う彼女が
ひどくつらそうに見えた。

｢今日…つらそうだったけど
なんかあったの…？｣
一瞬空気が張り詰めた
ような気がした。

｢あー…そうだね
派手に泣いてたねあたし｣
罰の悪そうな顔だった。



｢彼氏と別れちゃった…｣
｢え…｣