ラビットクリニック

「平木サン、仕事の方には大分慣れたかな?」

初めて会った時はこの声に、そして喋ってる時の喉仏にドキドキしてしまったコトがある。


いや、今だってこうやって喉仏が動いてるのとか、どういう表情をしながら言っているのかとかまで想像するようになってしまった。



「…ぎこちない"平木サン"になってますよ。せんせ?」

余裕をぶっこいたようなつもりで言ったが、こっちこそぎこちない言い方になっていたかも知れない。



「ははっ。そう?やっぱり俺は常にあっちの方で呼びたいんだけど」

そう言って彼は2歩、こちらへ歩み寄ってわたしの肩に手を乗せた。


そこから熱を帯びていくわたしの身体。



でも、彼はそれだけじゃ許してくれなくて―…


「昼休み、お弁当持って俺のトコにおいで。みい」


くらっとするような誘い言葉が私の耳へ注ぎこまれた。
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