そばにいて



「……………………。」





沈黙が三人の間に流れる。




「君は…優奈ちゃんだよね?私は、近藤勇といいます。」





その沈黙を近藤という男が破った。






「近藤…勇……?」




(どっかで聞いたことがあるような……。
俳優さんかな?服装からして時代劇をやっている人なんだろけど…。)





「近藤さんって……何かのテレビに出演してますか?
私、あんまドラマとかは見ないので、よく分からないんですけど……。」





私がそう聞くと、近藤さんはキョトンとして




「てれび?どらま?
何ですか、それは??
新しい舞台の名前か何かですか?」





と言った。





「はっ?」




(何言ってんのこの人、頭おかしいの??)




でも、近藤さんは真面目な顔で聞いている。




「えっと……テレビってゆーのは…………。」




私が言いかけた時、



「私がもといた時代のモノですよ、勇さん。」



お母さんが私の言葉をさえぎって言った。





「あぁ!!
どーりで分からないわけだ!」




アハハと呑気に近藤さんは笑った。





(もといた時代?どーゆーこと??)






「ねぇ、お母さん。
もといた時代ってどーゆー意味なの?」







私がそう聞くと、お母さんはゆっくりと口を開いた。








「あのね、優奈……。
私達が今いるこの時代は………











江戸時代なの。」










「え……?」









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