そばにいて
お母さんは近藤さんに聞こえないように、私に言った
「……優奈。
お母さんはね、今、新撰組の人達の元で働いてるの。」
「新撰組…で…?
でも、確か新撰組って………!」
(十年ももたないんじゃ……。)
そこまで言いかけた口を私は急いで止めた。
近くに近藤さんが居るのを思いだしたから。
(今の時代を生きている人に、未来を教えちゃダメだよね………?)
私はそう考えてしばらく黙っていた。
「あなたも、そこで働きなさい。」
「……えっ……?」
突然のことに、私の頭はこんがらがった。
「私もそこで働いてるし、あなたも知らない場所に一人よりかはいいでしょう。」
「……………。」
(でも、確か新撰組には………。)
「お、鬼の副長が……っ!」
おもわず思ってたことを声に出してしまった。
「鬼の副長??
トシのことを言ってるのかっ??」
近藤さんが目をまるくしながら聞いた。
「トシ……っていうか、土方なんとかってゆー人……。」
私がそう言うと近藤さんとお母さんはドッと笑い出した。