そばにいて
優奈がいきなり大声を出したために、皆ポカーンとしていた。
「ゆ、優奈?
一体どうしたのよ?」
お母さんが目を丸くしながら言った。
「こ、この人は沖田総司じゃないよ……。」
『………………はい?』
「え、いきなり俺全否定されるんですか?
俺、沖田総司じゃないって初対面の人に言われたの初めてですよ?」
沖田総司……だと言われてる人がいった。
「だ、だって画像ではもっと不細工だったんだもん!」
「がそー?ぶさいく?
異国語ですか、それは?」
ああああぁ、もう!
説明めんどくさいなぁッ!!
「だーかーらーッ!
私が知ってる沖田総司はもっと変な顔だっていってるのッ!!」
若干キレ気味で優奈は言った。
「え?俺の偽者がいるんですか?
しかも、変な顔って……なんだか複雑ですね〜。」
ち〜が〜う〜!!!!
「もう!そうじゃなくて………うがッ!!」
優奈が喋っていると、優奈の母がそのお喋りな口をふさいだ。
「優奈〜、あんまり喋らないでね。
沖田さんに怒ったって仕方がないんだから。
未来の話もしちゃダメよ!」
「………あ…。」
忘れてた。
私は今、江戸時代にいるんだった。
それに、沖田さんの本当の顔は分からないって言われてたんだから、画像と違うくてもおかしくないよ。
冷静になって考えてみると、自分がものすごく可哀相に思えてきた……。
「えと………沖田さん。
いきなり変なことを言ってごめんなさい…。」
私は沖田さんの顔をまっすぐに見て言った。
本当に凄く整った顔。
ずっと目を見ていたら吸い込まれちゃいそう………。
「別にいいですよっ。
誰だって勘違いはするものです。」
沖田はニコッと笑った。
………その笑顔は反則だと真剣に思う…。