そばにいて




「―――っ!!」





声のしたほうを見ると、
白い着物、透き通るような肌、そして、鮮やかな桜色の髪をした少年がいた。


その手には
真っ赤に染まった刀があった―――






「貴方がお母さんを殺したのっ!!?」




優奈は少年と距離をおきながら、問い詰めた。





「そうだよ。
だって僕たちにとって
邪魔な存在じゃないか……
ねぇ、優奈――?」






(人の命を奪った後なのに……
この人、笑っている―――?!)




「意味がわからないッ!!
貴方は一体誰なのよ?!
それに………
どうして私の名前を――?」





「あれ、優奈。
僕のこと、忘れちゃったの??
僕は桜木 薫(サクラギカオル)
ほら、昔約束しただろ?
僕達が16になったら、その時は―――」




「優奈さん、高山さん、大丈夫ですかっ!??」




桜木さんが言い終わる前に、
沖田さんの声が聞こえた。




「あれは、沖田か――。」






「そこで何を――………っ!!!」



沖田さんの目が、
母の骸をとらえた。




「玲奈……さ……ん……。」





呆然としたのもつかのま、
沖田はすぐに桜木に刀をむけた。





「チッ………。
沖田が相手じゃたまらないよ。
一旦、ここは逃げさせてもらおうかなっ。」




「そうはさせるか!!」




沖田は桜木に飛び掛かった。





「じゃあ、優奈……
―――また、会おう。」




その瞬間、桜木は煙のように姿を消した。










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