そばにいて
「うがっ!ごめんなさい!」
私がそう言うと
その男の人は目を見開いた。
え?私、なんかした?
いや、ぶつかったんだけれども!
「優奈さん………。」
へ、優奈って誰?
あ、もしかして私??
「えーっと………。
とりあえず、どちらさまですか?
あと、優奈って…私の名前…………?」
「……はい……?」
瞳の大きなその青年は
いかにも訳がわからないといった顔をした。
てかね、すんごい美青年なんですけどっ!!!
ホント、美青年という言葉は
彼のためにあるんじゃないかってくらい整った顔。
「貴方……覚えていないのですか?」
「なんか、そんな感じです……はい。」
たぶん……ね。
だって自分の名前わからないとか
覚えていない以外にどんな理由があるんですか??
「………貴方はしばらく部屋に戻っていて下さい。
いいですか、部屋からは絶対に出ないでくださいよ?」
ニコッと美青年は笑った。
「は………はい。」
私がそう言うと、彼はすぐにどこかへ行ってしまった。
結局、あんまり情報は得られなかったなぁ………。
あの美青年の名を聞き忘れたこともあり、私は少し後悔した。