そばにいて





「いや、しかし本当に見事だった!
お前、名は何という?」





ひとしきり笑った後、男は尋ねた。




「えっと……優奈です…。
あの、貴方は……?」




「俺か?
俺の名は芹沢 鴨(セリザワ カモ)だ!」



芹沢…鴨……って




あぁっ!!!!





「せ、せり、芹沢鴨って………っ!!」





よく覚えてないけどアレだ!!


なんか、いきなり火をつけたりする
ヤバい奴だ、ヤバい奴!!



に、逃げなきゃっ……





「何だ?
急に顔色が悪くなったぞ?
大丈夫………


「す、すいません!
私、ちょっと急いでるので
失礼させて頂きますーーーーっ!!」




芹沢が言い終わる前に
私は全力ダッシュで
もといた部屋に戻った。





「あ、ちょっと待て!
本当に顔色悪いぞっ!!
病かもしれん、早く医者に……」



「……っ……!!………っ……」





(何も聞こえない、何も聞こえないーー!!)




優奈は耳をふさぎながらの全力ダッシュは
なかなかスリル満点だと知るのだった。










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